動燃差別是正訴訟 被った損害は人格否定 控訴審が結審
高速増殖炉「もんじゅ」などを運営する日本原子力研究開発機構(原子力機構=旧動燃)の元職員6人が、「敵性判定」と呼ばれるレッテル貼りで、賃金・昇格差別を受けた「動燃差別是正訴訟」の控訴審の第2回口頭弁論が1月14日、東京高裁(永谷典雄裁判長)であり、結審しました。判決は3月25日の予定。
一審の水戸地裁判決(昨年3月)は、元職員らが「損害及び加害者を認識していた」時期を2005年6月としました。そのため、原告6人の損害の多くが時効で消滅したとして、計4,691万円(請求額1億6200万円余)の賠償額にとどまりました。
この日の控訴審で、元職員側代理人の瀬川宏貴弁護士が、「元職員が被った損害は、人格そのものの否定だ。機構による慰謝がない限り、時間の経過で回復するものではない」と意見陳述しました。
瀬川弁護士は、05年時点で元職員らは同学歴、同期入職の同僚らと比べて昇進、昇給が遅いなど、何らかの損害を認識していたにすぎないと指摘。
差別が裏でひそかに行われる中で、「原子力機構側の差別的意図を示す資料がない中で、元職員らに(05年から3年以内に)提訴せよというのは不可能を強いるものだ」と一審判決を批判しました。
瀬川弁護士は、原子力機構の組織的差別を裏付けた内部資料「西村文書」を元職員たちが入手・分析した13年12月を「損害及び加害者を認識」した時期に変更するよう強調しました。
閉廷後、東京都内で報告集会があり、元職員5人が発言し、判決まで署名活動などでの奮闘を誓いました。弁護団事務局長の平井哲史弁護士が裁判を振り返り、「一審判決からどれだけ前進を勝ち取れるかがカギだ。予断を許さずに、これからも声を上げていこう」と呼びかけました。
(「しんぶん赤旗」2025年1月15日付より転載)