霞ケ浦導水事業 国は再開表明撤回を 茨城と栃木の漁業者ら集会
国交省が霞ケ浦導水事業の再開を表明した問題で、「漁業権が侵害される」として国を相手取り、水戸市にある霞ケ浦導水事業の取水口建設差し止めを求める裁判をたたかっている茨城、栃木両県の那珂川関係漁協は4月27日、茨城県城里町内で集会を開きました。
会場の町公民館は漁業関係者らで埋まり、国交省と橋本昌知事あてに提出する「事業再開の撤回を求める声明」を採択しました。
集会では、学者や専門家がそれぞれの立場から発言し、▽アユやシジミの漁に甚大な影響を与える▽那珂川から送水しても霞ケ浦の浄化は不可能。霞ケ浦からの送水で那珂川が受けるダメージは計り知れない▽生物多様性条約などに違反する─などと指摘。
漁業権や環境を守るためには事業中止以外にないことを明らかにしました。
那珂川漁協の君島恭一組合長をはじめ、各漁協組合長が裁判での陳述内容などを報告。
原告団の丸山幸司弁護士が裁判の経過や争点について説明しました。
川崎健・東北大学名誉教授は、漁業権や環境を守るためには科学的根拠を示して、運動をすすめていく大切さを繰り返し強調しました。
霞ケ浦導水事業
総事業費1,900億円の大規模公共事業。
那珂川~霞ケ浦~利根川の間を地下トンネルで結び、水を往来させることで「都市用水の確保」や「霞ケ浦の浄化」などを目的に計画。
しかし、都市用水は大幅に余っており、霞ケ浦については、浄化どころか富栄養化を促進させ、水質が悪化するとの指摘もあります。
漁業権の侵害、環境破壊が懸念されています。
(「しんぶん赤旗」首都圏版 2014年4月29日付より転載)