迫る茨城県知事選 8月22日告示・9月8日投票

大企業は優遇、県民からは強権的徴税
県民いじめの現県政
田中重博予定候補 県民本位の転換訴え

8月22日告示の茨城県知事選(9月8日投票)で、「明るい民主県政をつくる会」(明るい会=労組・民主団体、日本共産党などで構成)の田中しげひろ氏は、「大企業優遇で県民いじめの県政だ」と橋本昌県政からの転換を訴えています。橋本県政の実態をみると─。
茨城の人口は295万7000人余で全国47都道府県中11位です。政令指定都市を有しない県としては最多。財政力指数も8位と上位です。
ワーストクラス
茨城県が毎年実施している県政世論調査の「県政への要望」項目では、「医療体制の充実」と「高齢者福祉体制の充実」の二つが例年、1~2位の座を譲らず、「子育て支援・少子化対策」「高齢者の健康推進」「雇用対策の充実」などと続いています。
世論調査の結果は、医療・福祉がいかに遅れているかを示していると言えます。県民生活に直結する医療、福祉などにかかわる茨城の指標を全国順位でみると医師数46位、看護師・准看護師数44位、民生費(県・市町村財政合計)44位、老人福祉費(同合計)43位、児童福祉費(同合計)41位などと軒並みワーストクラスです。
橋本知事は就任以来20年間、こうした県民の願いには一貫して背を向け続け、「産業大県づくり」を声高に叫び、常陸那珂港や茨城空港(航空自衛隊百里基地の軍民「共用」化)の建設をはじめ、工業団地を県内各地に乱造するなど不要不急の大型開発を推進してきました。売れ残っている広大な工業団地用地を処分できる見通しはありません。
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借金3.6倍に
橋本知事はこうして借金を就任時の3.6倍に増やし、その額は一般会計当初予算の2年分に膨らみました。橋本県政は福祉、医療分野の予算に大ナタを振るい、保健所や婦人相談所の統廃合、特別養護老人ホームの民間への売却、県立こども福祉医療センターの「民設・民営」化、各種補助金や助成金の打ち切り・減額などを強行してきたのです。
橋本知事は、前回知事選でにわかに「生活大県づくり」を言い出しました。知事選後の最初の議会で、橋本知事は「『産業大県づくり』は、『生活大県づくり』の基盤だ」などと説明しました。
知事のこの持論は「『産業大県づくり』が成功しないと、『生活大県』にはなれない。だから『産業大県づくり』をこれからも続ける」というもので、「生活大県」は永遠に先送りされることになります。
「企業誘致の呼び水」として2003年度に始まった、県内に工場を新規立地・増設した企業にたいする税金免除額は12年度までの10年間で280億円にのぼっています。
徴税機構つくり
一方、県民からは税金を強権的に取り立てる「茨城租税債権管理機構」を設立。「生活大県づくり」といいながら、茨城租税債権管理機構が10年度、県民から徴収した税金総額の24%が国保税でした。
未納者への「公売」などの新聞報道について、茨城租税債権管理機構側は「厳正な処分を受ける」という“アナウンス効果”があるとしたうえで、「予告書を送付するだけで相談にくる」などと自慢し、未納については「納税意識が希薄だ」と一方的に断定。「払いたくても、高すきて払えない」という事情に思いを馳せることはないようです。
日本共産党の大内久美子県議が昨年9月の県議会で「国保税の取り扱いはやめるべきだ」と迫ったのにたいして、橋本知事は「年々滞納額が増加している。やめる状況にはない」などと公言。県民にとっていかに冷酷な県政かを印象づけています。
田中知事予定候補の政策
「明るい会」の田中知事予定候補は次のような政策を掲げています。
▽常陸那珂港のこれ以上の建設は中止します
▽霞ケ浦導水事業の中止を国に求めます
▽国保税などの値下げのために県の補助金を復活させます
▽保健所を充実させて健康増進と予防医療のとりくみを広げるとともに、医師、看護師、介護職員不足の解決をはかります
▽地域医療、介護体制を充実させます
(「しんぶん赤旗」首都圏版 2013年8月14日付より転載。県政問題については「ごいっしょに考えてみませんか 茨城県政」もご覧ください)