県政史上初めて総選挙と県議選が同日投票(2014年12月14日)になった茨城県─。
「安倍内閣の暴走政治にストップを」「全国8位の県の財政力を生かし、くらし・福祉・医療を充実させよう」の訴えが、県民の願いと重なり、「こんどは共産党」の声を広げました。
2012年の前回衆院比例の得票比199%、12万2,146票(得票率9.49%)を獲得し、得票目標を超えた“激変”情勢の背景などを追いました。
(中東久直、茨城県・栗田定一)
茨城・鹿嶋市
鹿島神宮やサッカーJ1リーグの鹿島アントラーズのホームタウンとして知られる茨城県鹿嶋市。
鹿嶋市で、今回日本共産党が獲得した衆院比例票は2,459票(得票率8.8%。前回1,063票・3.36%)で過去最高となりました。
「安倍内閣の暴走と対決し、対案を示し、共同を広げる日本共産党が伸びれば政治は変わる」の訴えが支持を広げました。
自民前職と「自共一騎打ち」となった衆院茨城2区の市町の一つ。
鹿嶋市での川井ひろ子候補の得票は7,709票(得票率28.3%)と過去最高でした。選挙区全体でも躍進し、法定得票を獲得しました。
鹿嶋市で3人の市議を擁する地域政党「かしま志民党」共同代表で鹿嶋市議の田口茂氏は、今回の総選挙で日本共産党への応援演説をしました。
田口氏は、元自民党鹿嶋市副支部長の経歴もあります。
事務所を訪ねると、田口氏は、「安倍政権の暴走政治ノー。集団的自衛権行使に、戦争を再び繰り返すのではとの危機意識をもっている。原発は反対で、消費税増税反対、TPPも反対です。国政上のこうした政策は同じです」と語ります。
保守系も支持
4月のいっせい地方選(定数22)では、立原弘一市議とともに、小選挙区をたたかった川井氏が、鹿嶋市で初めて日本共産党2議席に挑戦します。
立原市議は、「1日25回以上の街頭演説、党勢拡大に奮闘し、必ず2議席を獲得したい」と決意しています。
総選挙では、保守系議員や女性団体役員からも、「比例は共産党に入れる」との表明が県内各地で寄せられました。
集団的自衛権問題での「県内いっせい駅頭シール投票」や原発再稼働反対のメガホン宣伝、「青空演説会」など多彩な宣伝活動が話題をよび、メディアも注目しました。
日本共産党茨城県委員会の田谷武夫委員長は、「『一点共闘』を広げて、国民とともにたたかう壮大な選挙戦に挑戦しました。そういうたたかいが、規模の面でも、いままで以上に広がりました。生き生きと情勢の変化をつかんで、打って出た支部が広がりました」と語ります。
党派超え“共産党大きく”
年が明け、“仕事始め”の1月5日、「安倍暴走政治にストップをかけ、戦争する国づくりを許さないために日本共産党をさらに大きくしてください」の訴えが、茨城県水戸市のJR水戸駅南口に響きました。
日本共産党水戸市委員会の新春街頭演説です。
衆院北関東ブロック比例候補(茨城1区重複)としてたたかった大内久美子党県副委員長(前県議)、県議選で大内氏の議席を引き継いだ江尻加那県議(前水戸市議)、4月の水戸市議選をたたかう田中まさき市議、なかにわ次男市議=以上現=、土田きよみ氏=新=の3氏が勢ぞろいし、新たな決意を語りました。
自力をつけ、公約実現、いっせい地方選挙での躍進をめざした奮闘が県内各地で始まっています。
16年ぶりに
総選挙の比例得票では、県内44市町村中9自治体で得票率10%を超えました。
7つある小選挙区では、前回は得票率10%を超えた選挙区はゼロでしたが、今回は5選挙区で10%を超える歴史的な躍進となりました。
県議選(定数63、前回より2減)では、前回の1議席から16年ぶりに3議席を獲得。
同日投票の笠間、坂東、稲敷の3市議選で4候補が全員当選しました。
1月8日、日本共産党の山中たい子氏(つくば市区、定数4)、江尻加那氏(水戸市・城里町区、定数6)、上野高志氏(取手市・利根町区、定数3)をはじめ、県議選で当選した新議員が初登庁。
県議会棟ロビーに、選挙戦をともにたたかった党員、後援会員、支持者らの笑顔があふれました。
「わが家は母子家庭です。団地で洗濯物を干しながら、(江尻さんの)演説を聞かせていただきました。選挙に行く意味を見いだせなかったけれど、行く気持ちになりました。子どもたちが未来に希望がもてるような政治を」。
選挙戦のなかで寄せられたメールです。
選挙後に連絡がとれ、「よかったですね。頑張ってほしい」と話してくれました。
総選挙、県議選では、党派を超えた共同と支持が広がりました。
水戸市区では、不要の水資源開発と批判の強い霞ケ浦導水事業に反対する漁協の関係者が演説会で応援あいさつ。
前東海村長の村上達也氏が、江尻候補を含め4人の党県議候補に激励メッセージを寄せました。
スケボー仲間もネット拡散
つくば市区では、元公明党副委員長の二見伸明氏が「集団的自衛権行使は許せない」と共産党のビラにも登場しました。
つくば市内のスケートパーク存続問題で一緒に活動してきたスケートボーダーの男性(37)=会社員=が応援に駆けつけました。
仲間らがインターネット上でこの問題を拡散しました。
男性はいま、「存続問題で助けてくれ、よくやってくれたのが共産党でした。大きく躍進してよかったですね。集団的自衛権行使、憲法9条の改変、TPP推進をやめさせてほしい」と期待を寄せます。
県内有数の米作地帯、筑西市区(定数2)では、新中核病院建設や米価暴落問題で党派を超えて信頼が広がり、地元地域の人たちが毎日30人以上事務所にかけつけ支持を広げてくれました。
鈴木さとし候補は得票を前回の1.64倍(得票率29.42%)に増やしたものの、1,162票差で惜敗しました。
選挙後も、「比例代表の票が倍加してすごかったね」「病院建設や農業問題で頑張ってほしい」などの声が続いています。
田谷武夫県委員長はいいます。「今後に生かすべき教訓をしっかり深めていきたい。茨城県の地方議員数は、県議、市町村議合わせて57人です。いっせい地方選(後半戦)が13市2町で行われます。27人を擁立し、9人増をめざします。その後の中間選挙でも増やし、日本共産党の“第3の躍進”を本格的なものにしたい」
(「しんぶん赤旗」 2015年1月11日付より転載)