原発事故避難計画 立ちすくむ100万人 茨城・東海第2

3月末、原発事故の際の地域防災計画を義務づけられた21道府県のうち、ほとんどが策定を終えました。
原発事故が起こったとき、住民をどう避難させるのか。東京電力福島第1原発事故がうきぼりにしたのは避難の困難さでした。
計画のいくつかを検証してみると─。

30キロ圏内に約100万人が住む、茨城県東海村の日本原子力発電東海第2原発。
中枢機能が集中する県庁所在地の水戸市(人口27万人)もすっぽり入ります。これだけの住民をどうやって避難させるのか─。

バス1000台でも わずか5万人

避難手段となるバスは何台集められるのか。県防災会議の一員でもある茨城県バス協会は、「実際に何台出せるかはわからない。各社に聞いてほしい」。
30キロ圏内で運行する3社に聞いてみました。日立電鉄交通サービスは路線バスを約320台、関東鉄道は約150台保有。
両社とも「その日の運行状況によるので実際に出せる台数はまったくわからない」としています。

仮に他地域も含め1000台バスをかき集め、各50人乗りとしても、1度に運べるのは5万人で、100万人には程遠い。
マイカー避難者による渋滞で、避難先との往復は難しい可能性があります。

東海第2原発から半径30キロ圏に含まれる各自治体の人数(原子力規制庁が2005年の国勢調査をもとにした資料から)

東海第2原発から半径30キロ圏に含まれる各自治体の人数
(原子力規制庁が2005年の国勢調査をもとにした資料から)

社会的弱者の避難はどうか。
水戸市の城南病院(民医連加盟、113床)は、2011年3月11日の大震災で水道が止まり、人工透析患者40人を転院させました。

介護ワゴン車(10人乗り)1台を含む病院所有車4~5台では足りず、職員の私有車を含めて約10台で3日かけて患者を東京、埼玉、神奈川などの病院に避難させました。

伊藤良徳事務長は、「患者全員となると、バスを出してもらわないといけません。常に治療が必要な人工呼吸器をつけた患者などには救急車が必要で、その確保も困難です」と語ります。

見えない方針 「無理がある」

「避難計画づくりはこれからの課題」。県の原子力安全対策課の横山公亮課長補佐は、こう話します。
県が3月25日に改定した地域防災計画は基本的な方針にすぎず、避難計画は市町村が作成し、県はそれを支援するとしています。

その市町村は県の指示を待っている状態です。
水戸市の担当者は、「水戸市だけが避難計画をつくることはできず、周辺市町村が同じ方向に進まないと成り立たない」と話します。
しかし、県の横山課長補佐は、「国の基準は毎時500マイクロシーベルトで避難するとしているが、計測地点からどのくらいの範囲を避難対象とすべきか、その形状が円状か、まだら状かなどによって変わる」「国がもっと必要な情報を出してくれないと進めない」と、苦悩をにじませます。

日本共産党の大内久美子県議団長も、「100万人もの住民を避難させることに無理があります。避難計画は住民参加でつくるべきで、東海第2原発の再稼働を前提にしてはいけません」と話します。

市町村は県の、県は国の方針待ちで、まったく見えてこない避難計画。
30キロ圏内のある市の担当者は、「住民を避難させられるか」との問いに「うーん」とうなり、「個人の考えだがかなり難しい」とこぼしました。

「しんぶん赤旗」 2013年4月1日付より転載)