2010年10月

<日本共産党の重点公約>

3.開発行政の破綻。ムダな公共事業の中止を求めます

   茨城県政は、くらし・福祉の予算を削る一方、土地開発、港、空港、ダムづくりに莫大な税金を投入してきました。この計画の破綻が明確になっています。
(1) 土地開発の破綻。開発行政を転換し、県民負担を最小限にします
   県や公社が保有する工業団地、住宅団地が1、594haも売れ残っています。土地を売って返すはずの借入残高は4、293億円にのぼります。開発公社、住宅供給公社、土地開発公社は、県の開発行政の別働隊として、土地開発をすすめ、「バブル」崩壊後も加速させました。日本共産党はこの無謀は土地開発に一貫して中止を求めてきました。債務超過に陥った住宅供給、土地開発の2公社には06年度から補助がはじまり、09年度から開発公社への補助が加わりました。県の計画ではこれから20年間に渡って年100億円以上の負担を県民の税金で行うことになります。
   知事の責任だけでなく県議会の責任も重大です。自民党、民主党、公明党は土地開発に賛成・推進し、銀行からの借り入れに対し100%の債務保証、損失補償をおこなう議案に賛成してきました。この議決は、銀行に「貸手責任」を問うことを困難にしています。
日本共産党は、破綻の原因と責任を明確にし、土地開発をきっぱり中止することを求めます。また巨大な負の遺産に対し国と銀行に負担を求め、民間売却した際の乱開発防止など県民負担を最小限にするため力をつくします。
(2)茨城空港。これ以上の税金投入の中止を求めます
   ことし3月11日に茨城空港が開港しました。当初の国内線1日12往復の計画は破たんし、海外の格安航空会社の受け入れでの出発になりました。知事は「80億円ですむ」と説明してきましたが、関連道路や駐車場、臨空型工業団地、空港公園、ターミナルビル建設など総事業費は517億円に膨らみ、県負担は251億円と莫大なものです。航空会社の施設使用料が少ないためターミナルビル運営は初年度から2千万円の赤字が見込まれています。「就航対策」として今年11億円の税金が投入されます。さらに自民党県議は、搭乗者が少ない場合、航空会社の損失を税金で補てんする「搭乗率保証制度」の導入を迫り、知事も「就航条件として提示された場合は協議したい」と答えています。県民のなかから「これ以上の税金投入をやめてほしい」との声が広がっています。日本共産党は、県民負担の増大、新滑走路の欠陥と軍事基地との共用化の危険性を明らかにしてきました。茨城空港へのこれ以上の税金投入をやめ、百里基地の縮小・撤去を求めます。
(3)常陸那珂港中央埠頭の建設中止を求めます
   常陸那珂港は、東海村とひたちなか市にまたがる海岸を埋め立て、太平洋に北、中央、南の3つの埠頭を建設する巨大事業です。総事業費は7、267億円で、すでに3、627億円が投入されました。北埠頭は2000年4月に完成しましたが、入港する船は1日2.7隻程度で、貨物量の半分は常陸那珂火力発電所の輸入石炭です。それにもかかわらず01年2月、「需要が見込まれる」として中央埠頭建設に着工し、今後、3、000億円以上を投入します。中央埠頭の一部は海を埋め立て工業用地とし企業を誘致する計画です。すぐ近くに常陸那珂工業団地(66ha)があり、売れ残り工業団地を大量にかかえるなかで、新たな税金投入で海上にまで工業団地を造成する計画です。計画の中止を求めます。港湾建設は周辺の自然環境に大きな影響を及ぼしています。港湾の南側にある阿字ヶ浦海岸は砂浜が消失し、復旧工事にこれまで23億円が投入されました。周辺地域の自然環境破壊にたいしては、一旦工事を凍結して、原因を調査することを求めます。
(4)霞ヶ浦導水事業、八ッ場ダムなどの水源開発の中止を求めます
   県は人口400万人を想定して、霞ヶ浦開発事業、霞ヶ浦導水事業、八ッ場ダム、湯西川ダム、思川開発など水源開発に莫大な税金をつぎ込んできました。しかし県人口は300万人にも達せず減少傾向にあり、工業用水も企業の節水と工業団地の売れ残りで、水余りが顕著になっています。茨城、栃木両県の那珂川関係漁協は、「那珂川の自然をまもりたい」と、国を相手取り霞ヶ浦導水事業の取水口(水戸市)の建設差し止めを求める裁判を水戸地裁に起こしました。シジミ資源にも甚大な影響を受けると大涸沼漁協も参加し、那珂川、涸沼に漁業権を持つすべての漁協が訴訟に立ち上がっています。
   国土交通省は「評価委員会」をつくりダムの必要性を再検討するとしています。ところが県も県議会も依然として推進の立場をとっています。日本共産党は、09年9月「八ッ場ダムの建設中止と住民合意による生活再建・地域振興を求める意見書案」を提出しました。しかし自民党は「推進の意見書案」を提出し、民主党は「中止」、「推進」の両方に反対し県民の批判をあびています。日本共産党は、県民の世論と運動を広げ、新たな水源開発は中止させるため力をつくします。
(5)つくばエクスプレス(TX)沿線開発の見直しを求めます
   TXの開通により新たなまちづくりがすすんでいます。沿線開発は、8地区で1、700haに人口10万人を呼び込もうという大規模宅地開発です。過大な計画に加え地価が下落したため、先買いした県有地や保留地が処分できたとしても、県は、528億円の損出額がでると言っています。
   日本共産党は、開発の現状を市民参加で検証することを求めます。開発地区ごとに、地権者、「まちづくり協議会」、市民、行政(UR、県、市)による「見直し協議会」(仮称)の設置を提案します。開発未着手地区の地権者に対する固定資産税の軽減を求めます。
(6)進出企業へ税金免除をやめ不公正税制を是正します
   大量の売れ残り工業団地を抱える県は「企業誘致の呼び水」として県内に工場などを新規立地・増設する企業の不動産取得税と法人事業税を3年間免除しています。03年から開始され免除額は7年間で227億円にのぼります。免除をうけている企業の76%は、資本金1億円以上の大企業です。税金の免除をうけながら、常陸那珂港隣接地に進出した大企業は非正規労働者の雇い止めをおこなっています。これでは企業を誘致しても県民所得は増えません。日本共産党は大企業への税金免除をやめ、地元中小企業への支援を求めます。
   日本共産党は、開発に「なんでも反対」ではありません。「身の丈」にあった開発、住民参加のまちづくりをすすめ、学校の耐震化や保育所・特養施設、公営住宅の建設、道路、下水、橋梁等の補強・改修など生活密着型の公共事業に切り替えることを主張しています。“企業を誘致すれば経済はよくなり、暮らしが良くなる”という古い自民党流のやり方の破綻は明白です。大型開発を見直し、県政運営の流れを変える時です。

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