2010年10月

<日本共産党の重点公約>


1、くらし、福祉、医療、教育の充実をはかります

   自民党・公明党の政権から民主党中心の政権に変わりましたが、くらしはますます厳しくなっています。年収200万円以下の働く貧困層が増え、県内の生活保護世帯は、この7年間で1.5倍(1万6千世帯)に増えました。国民健康保険(国保)税の滞納世帯は加入世帯の20%(9万7千世帯)にのぼり、特別養護老人ホーム待機者は、5500人と急増しています。
民主党政権は、公立高校授業料の無償化を実施する一方「義務づけ・枠付けの見直し」の名による保育行政の改悪や「一括交付金化」による国庫補助負担金の廃止・縮小など小泉「改革」を継続・推進しています。
   橋本県政は、知事選で公約した子どもの医療費助成や少人数学級の拡大をはかりました。しかし、「財政が厳しい」として、県民に負担と犠牲を押しつけています。この4年間だけでも県立産業技術専門学校(職業訓練校)授業料の値上げ(07年)、在宅障害児福祉手当に所得制限を導入(07年)、重度障害者の医療費助成を削減(08年)、小児慢性疾患治療費補助対象の縮小(09年)、妊産婦医療費助成の削減(09年)など県独自の福祉施策を削減しました。県議会の自民党、民主党、公明党は、知事の提出議案ならどんなに県民犠牲の議案でも原案どおり可決し、その一方「水道料金の引き下げ」「養護学校の教育条件整備」「私学助成の拡充」などの請願を不採択にし、県民の願いに背を向けています。しかし福祉にお金をつかったから県財政が厳しくなったわけではありません。福祉を削って開発行政に莫大な税金を投入してきたことが原因です。日本共産党は、切実な声を県政に届け、県民運動と共同してくらしの願いを実現するため奮闘します。
【暮らしを守り、福祉、介護の充実】
(1)水道料金の値下げを実現します

   高い水道料金が家計を圧迫しています。茨城県の多くの地域では、県が水源を確保し、市町村に水を売り、市町村が家庭に売る仕組みになっています(県広域水道)。県は、過大な人口と企業進出を想定して、霞ヶ浦開発事業、霞ヶ浦導水事業、八ッ場ダム、湯西川ダム、思川開発に莫大な税金をつぎ込んできました。しかし県人口は300万人にも達せず減少傾向にあり、水余りが顕著になっています。この莫大な水源開発費は県水道料金として市町村と住民に負担を押しつけ、しかも水余りの中、必要以上の水を市町村に売りつけています。
   ダム建設を中止すれば、毎年のダム負担金(今年度は30億円)がなくなるだけでなく、これまで県が国に支払った分の返還を求めることもでき、水道料金の大幅値下げが可能です。
県水道会計はダム建設負担をしながら、毎年大幅な黒字を計上しています(平成21年度決算。県南広域水道15億43百万円、県西広域水道6億41百万円、鹿行広域水道48百万円、中央広域水道5億43百万円)。昨年7月県西広域水道関係の13市長・町長がそろって県知事に「値下げ」を要望しました。日本共産党の県議・市町村議員はこの要望を支持し、なかなか回答しない県当局に「市町村の要望に誠実にこたえること」を求めました(昨年11月)。こうした運動が広がる中、県は今年4月から県西広域水道の値下げにふみ切りました。県南広域でも今年8月、関係8市町村長と県南水道企業長(牛久市、取手市、龍ヶ崎市で構成)がそろって県知事に「値下げ」を要望しました。日本共産党は市町村長とも共同して県水道料金の値下げを実現するため奮闘します。
(2)国保税1世帯年1万円の引き下げ、「保険証の取り上げ」をやめさせます
   高い国保税に悲鳴があがっています。被保険者1人あたりの保険税の全国平均は1984年3万9千20円でしたが、08年は9万625円と2倍以上に引き上がり、県内平均保険税は9万5千414円になっています。国保税が払いきれず滞納する世帯が2割(9万7千世帯。09年6月現在)に達しています。1年以上滞納した世帯は、保険証が取り上げられ(6612世帯)、医療機関の窓口で10割を負担しないと医療が受けられません。また1ヶ月、3ヶ月などの「短期資格証明書」が5万3千世帯に発行され、この短期保険証も市町村窓口にこなければ渡さないなど「置き止め」の措置もとられています。まさにお金のない者は医者にかかるなと言わんばかりです。
   この原因は国庫負担率を医療費総額の49.9%(1984年)から25.0%(07年)に削減したことにあります。茨城県も2億9千300万円(1995年)あった県補助金を06年から廃止し、国の悪政の「共犯者」の役割を果たしています。県補助金の廃止に際し日本共産党県議団は、強く反対しました(06年3月定例県議会)。自民党、民主党、公明党は、この県補助廃止を含む06年度予算案に賛成しました。これでは県民のくらしを守れません。高萩市では、国保税引き下げの市民運動が広がる中、日本共産党と保守市議が共同して値下げ案を提出し、今年から1世帯1万1千円の値下げを実現しました。議員が県民の立場に立てば、値下げは可能です。国保会計の状況は、市町村で違いがあります。しかし県がイニシアチブをとれば、市町村を励まし、くらしをまもる流れが広がります。日本共産党は、国に対し国庫負担金を元に戻すことを求めます。また県と市町村が力を合わせ1世帯1万円の値下げを求めます。
   1958年に「国民皆保険」制度がとられ52年たちますが、制度の定着どころか、骨抜き状態が進行しています。保険証の取り上げをやめさせます。
(3)「高齢者の行方不明」をなくします
   「消えた百歳」から聞こえてくるのは社会保障の貧しさに対する最弱者の悲鳴です。所在確認にとどめず、高齢者が住みなれた土地で生きていけるようにしなくてはなりません。福祉職員の増員を求め、「高齢者・障害者の介護の見回り体制の強化」、「保健・医療ネットワークづくり」「地域の支えあいによるコミュニティーづくり」をすすめます。
(4)生活保護の老齢加算を復活させ、扶助基準の引き上げを求めます
 08年度の生活保護申請相談5、878件のうち、申請は3、112件(申請率52.9%)です。実際に受給が認められたのは2、790件で、相談件数の4割台にとどまっています。
 日本共産党は、相談の段階で申請を受け付けるのが生活保護法の趣旨であり、相談者を窓口で追い返す“水際作戦?中止を求めました。県は相談者がすぐ申請できるよう関係機関に助言していくと答えました。生活保護法の本来の主旨にそった行政に転換し、老齢加算の復活など憲法25条の生存権保障にふさわしい制度への充実を求めました。
   生活保護費を狙った「貧困ビジネス」に対し、日本共産党は、生活保護費は直接本人に渡すこと、低額宿泊施設に対する県「指針」の見直しを求め、改善させました。さらに公的自立支援センターの設置、民間アパートを借り上げ貸し出す制度などの実施を求めます。
(5)介護保険料、利用料の軽減、介護施設の拡充を求めます
 介護保険制度ができて今年で10年目になります。利用料負担が重く、本県では在宅サービスの利用限度額にたいする利用率は3割台にとどまっています。保険料は3年ごとに値上げされ、09年4月に県平均で月3、717円(256円増、7.4%増)となりました。一方、保険料で17、利用料で15の市村で独自の減免措置をおこなっていますが、市町村への県の助成はありません。
   国庫負担割合を介護保険発足前の50%にまで戻し、住民税非課税の高齢者には原則として保険料・利用料を求めない仕組みをつくることを求めます。
   要介護認定や利用限度額は廃止し、ケアマネージャーやヘルパーなど現場の専門家の判断で必要な介護を提供できるようにし、ケアマネージャーの独立性・中立性・専門性を確保します。訪問介護、福祉用具の利用制限などの「介護とりあげ」の中止を求めます。民主党政権のもとでも検討が続く「軽度」者の介護保険からの締め出しに反対します。
   県内の特別養護老人ホームの待機者が5、500人と急増しています。09年度から3ヵ年の「第4期いばらき高齢者プラン21」での整備目標は待機者数の36%にしかなっていません。    
   目標を引き上げ、計画的に待機者解消をはかる緊急対策が必要です。整備にあたっては、個室ユニット型だけでなく、希望者が増えている多床室の整備を求め、県独自の補助制度が来年度から実施されることになりました。
療養病床の削減により、医療・介護難民が増加しています。民主党政権でも継続されている療養病床の廃止・削減計画の白紙撤回を求めます。どこでも、誰でも必要な医療と介護を受けられるよう、医療と介護の連携をすすめます。
   介護職の待遇改善を求めたのに対し、橋本知事は「実態にあった介護報酬を設定するよう国に要望する」と答えました。民主党が公約した一人4万円の賃上げのすみやかな実施、人員配置基準の2対1への改善や介護労働者の正規雇用化など労働条件の抜本的改善を求めます。
(6)後期高齢者医療制度は廃止し老人保健制度に戻し、医療費窓口負担の軽減を求めます
 75歳以上の人を差別する医療制度に怒りが広がっています。民主党政権は、「廃止」を4年後に先送りし、「新制度」を検討しています。
 県内の75歳以上の高齢者は31万5千人(今年1月31日現在)で、そのうち普通徴収者(年金月1.5万円以下)は、11万8千人です。滞納者には、1〜6ヶ月の短期被保険者証が発行され、県内の発行は1496人(22年8月1日)におよび、大阪府、福岡県に次いで全国3番目に多い県になっています(東京1407人、神奈川0人)。1年6ヶ月を越える滞納者に対する保険給付の差し止め(8月現在82件)まで行っています。
   日本共産党は、低所得者の保険料を全額免除し、正式な被保険者証の全員交付を求めました。後期高齢者医療広域連合(県内44市町村で構成)によると普通徴収者の保険料免除に必要な財源はおよそ4億3千7百万円で、広域連合の黒字(21年度決算30億3、892万円)を活用するだけでも実現できます。
   県後期高齢者医療広域連合は、県民の反対運動が広がる中「後期高齢者医療給付費準備基金積立金」など約32億円を取り崩し、今年と来年の保険料値上げを中止しました。1人平均の保険料は年4万6、992円になります。日本共産党は、さらに値下げを求めるとともに健康診断、保健指導の充実を求めます。
   厚生労働省の高齢者医療制度改革会議は、8月20日「新制度」の中間とりまとめを決定しました。「新制度」は、サラリーマンとして働く高齢者やサラリーマンの家族に扶養される高齢者は組合健保や協会けんぽなどの被用者保険に入ります。それ以外の約8割の高齢者は、都道府県単位の国保に入り、市町村単位の国保とは別勘定にするというものです。名前は国保ですが、高齢者を再び差別するものです。元の「老人保健制度」に戻し、国保への国庫負担を増やすことを求めます。1980年代前半までは、健保本人や高齢者は窓口負担が無料でした。保険料は所得などに応じて負担し、必要な医療を平等に保障することこそ公的医療制度の原則です。先進国ではあたり前の「窓口負担ゼロ」の医療制度をめざし、その第一歩として、国の負担で75歳以上の高齢者の医療費無料化の復活を求めます。
(7)障害者自立支援法は廃止し、障害者福祉の充実を求めます
   障害者の福祉・医療の無料化をめざし、応益負担のすみやかな撤廃を求めます。施設への報酬の大幅な引き上げ、障害者施設で働く労働者の賃金の引き上げを求めます。障害のある子どもたちの成長と発達を保障するために、国・県の責任で療育、生活などあらゆる場における施策を充実させます。県がこの間削った、在宅障害児福祉手当、重度障害者の医療費助成等の復活を求めます。国が2013年8月までの制定を約束した障害者自立支援法にかわる新法を、難病や慢性疾患をもつ人、高次脳機能障害、発達障害など支援を必要とするすべての人を対象とする障害者総合福祉法とするため力をつくします。国と自立支援法違憲訴訟団の「基本合意」、憲法、障害者権利条約にもとづき、基本的人権を尊重する障害者福祉制度の確立、障害基礎年金の抜本的引き上げをはじめとした所得保障や就労保障などの拡充を求めます。
【子育て支援】
(1)中学卒業まで医療費無料化を実現します

   子どもの医療費助成制度の拡充は県民の強い願いです。ことし10月から現行の就学前から小学3年生までに拡大されます。しかし、所得制限と自己負担は継続されたままで、全国で最もきびしい所得制限によって子育て世代の3割が受けられません。
  市町村独自の助成拡大は、入院を含め中学生までの対象拡大は12自治体、所得制限の撤廃は28自治体に広がっています。日本共産党は、中学卒業までの完全無料化を求めます。すでに群馬県では、所得制限なしで中学卒業まで無料化を実施しています。茨城で実施するのに必要な予算は40億円で、あと25億7千万円(県予算の0.26%)を追加すれば実現できます。
(2)保育所を増設して待機児童の解消をはかります
 保護者アンケートでは「2年待ってようやく入所できた」「職場復帰や求職活動を遅らせた」などの声が寄せられています。県は国の基金を活用して09年、10年度の2年間を重点期間として保育所増設にとりくんでいます。しかし保育所そのものが少なく、2年間の基金活用にとどまらない計画的な新増設が必要です。とくに待機児童が多い3歳未満の乳幼児保育への補助を手厚くし、受け入れを増やすようにします。無認可保育所は県内に277ヵ所あり、5、835人が入所しています。保育を受けている子どもの12%にのぼります。子どもに「無認可」はありません。一定の基準を満たした無認可保育所への支援を求めます。
(3)こども福祉医療センターは、県立施設として隣接地への建設を求めます
 県内唯一の肢体不自由児医療施設である「県立こども福祉医療センター」は、半世紀の歴史を持ち、隣接する水戸養護学校の子どもたちが治療訓練を受けています。県は2010年2月、同センターを民設民営化し、建設場所を現在地から7キロ離れた茨城町の「桜の郷」の開発用地に移す計画を明らかにしました。関係者から、多様な重度の障害児の治療・訓練をすすめる療育事業は「採算性にとらわれず継続して丁寧に行われることが不可欠であり、それは県立だからこそできる」との声があがっています。日本共産党は、障害児の診察や療育、機能訓練を担う専門の医師など医療スタッフの確保は民間では困難と指摘し、県立施設として充実強化を求めています。また、移転ではなく、現在地に隣接する県有地への建設を求めます。
(4)増える虐待相談、児童相談所の増設を求めます
   中央、土浦、筑西の児童相談所での虐待に関する相談が過去10年間で約2倍に急増し、児童福祉司45名で対応しています。日本共産党は、児童福祉司の増員とともに採用・養成をすすめることを求めています。さらに県南地域への児童相談所の増設、土浦児童相談所に一時保護所を復活させることを求めます。
【公立病院の充実、安心してかかれる医療体制】
(1) 診療報酬の抜本的増額で病院経営を改善します
   「医療崩壊」をもたらした大きな要因は、診療報酬の連続削減です。民主党は診療報酬増額を公約していましたが、10年度の診療報酬改定を実質「ゼロ増額」に終わらせ、診療所・中小病院・療養病床などの診療報酬を引き下げました。診療所に経営難を押しつけ、病院淘汰や病床削減を促進する診療報酬改定では、「医療崩壊」は加速するばかりです。診療報酬を抜本的に増額し、地域医療全体を底上げし、安心してかかれる医療体制の再建・拡充をもとめます。
(2) 国、県、医師会、住民が力を合わせ医師と看護師の増員をはかります
   医師不足が深刻です。特に茨城県の医師数は人口比で46位です。原因は政府が「医学部定員」を削減してきたからです。政府も従来の立場をかえ定員増を認めていますが不十分です。地域と医療現場の実態を踏まえた定員増を求めます。医師不足は、勤務医に過酷な労働環境をもたらし、リタイヤや女性医師の退職が続いています。看護師、スタッフの増員、病棟薬剤師やケースワーカー増員など勤務医の過重負担を軽減し、女性医師が働き続けられる職場環境の改善を求めます。これまで地方病院は、研修医を抱える大学病院から中堅・ベテラン医師を派遣してもらうことで体制を維持してきました。ところが「新臨床研修制度」で大学病院を研修先に選ぶ医師がへり、「大学だのみ」が通用しなくなりました。新しい公的仕組みが必要です。茨城では「寄付講座」がその役割を発揮していますが、まだ不十分です。県に医師を確保する「プール制」「ドクターバンク」、医師不足地域で働く医師のローテーション確保、手当ての割増し支給などに国の財政支援を求めます。国と公的医療団体でつくる「地域医療支援中央会議」の機能を強化して、全国的な医師派遣システムの確立を求めます。看護師の増員と労働条件の改善で、看護師体制の確立をはかります。
(3) 公立病院を再生し、救命救急体制の充実をはかります
   政府は公的医療機関に「採算重視」「コスト削減」を強要し、「不採算」を口実に産科・小児科・救急医療などを率先して切り捨ててきました。民主党政権の「事業仕分け」でも国立病院や労災病院に事業縮小を求める方向が打ち出され、「公立病院改革ガイドライン」による統合や病床削減が継続されています。公的医療機関の役割をなげ捨てるやり方をあらため、公立病院を地域医療の拠点として再生するため支援の強化をはかります。心疾患や脳血管疾患死亡率が、県内9保健医療圏で最も高い「筑西・下妻保健医療圏」に救命救急センターの設置を求めます。
【どの子にも行き届いた教育】
(1)小中学校の30人学級の早期実現をはかります
   県教育委員会は02年度から小学1年生を対象に少人数学級を一部で実施し、03年度から小学2年生まで、10年度から小学4年生までと中学1年生へ拡大しました。しかし、対象は35人以上が3クラス以上で、2クラス以下は非常勤の教員加配で対応しています。小・中学校の35人学級には824人の教員増が必要で、1人の人件費を年500万円とすると41億円で実現できます。少人数学級の拡大は、県内9割の市町村議会で請願が採択され、県議会にも毎年、請願が提出されるなど県民のつよい要求となっています。日本共産党は、35人学級を全学年に拡大し、さらに小・中学校、高校での30人学級に踏み出すことを求めます。政府も少人数学級に踏み出すとしています。国の負担を求め、早期実現をはかります。
(2)学校耐震化を促進します
  文部科学省が10年4月1日に発表した公立学校の耐震化率で、県内の小中学校は55.7%と、全国平均より17.6ポイント劣りワースト3位でした。市町村は「財政的な問題が大きい」「小中1校ずつ着手しているが、財政的に余裕があればもっと進められる」(朝日10.7.22)と話していますが、県に市町村を支援する助成はありません。日本共産津は、「耐震化がすすまないのは必要な財政措置をおこなわず、市町村任せにしている点にある」と指摘し、市町村への財政支援を求めました。県立学校の耐震補修や大規模改修の計画的な実施を求めます。
(3)学校統廃合、高校再編計画の見直しを求めます
   県教育委員会は08年4月、学校適正規模基準を小学校12学級以上、中学校9学級以上とする指針を発表しました。あわせて統廃合による経費削減効果まで示し、統廃合の検討へ市町村を誘導しています。「適正規模」基準を下回るのは小学校で6割、中学校で3割を超えており、指針は実態を無視したものです。1973年の文部省通達は、小規模校としての教育上の利点や地域住民との合意をあげています。通知を生かし、市町村への押し付けをやめさせ、計画の見直しを求めます。
   県教委は第2次県立高校再編整備計画の前期実施計画(2011〜13年度)を発表しました。12年度日立一高、13年度総和高を県内全域通学区の中高一貫校に改編し、11年度は緑岡高と竜ヶ崎一高に「医学・難関理工系進学コース」を設置します。一方、県教委は「1学年当たり4学級から8学級を適正規模の学校」とし、「適正規模」の維持が見込まれない学校を統廃合する方針です。02年度111あった高校を2020年度には88校程度にまで削減する計画です。高校の30人学級を実現し、父母、地域、教職員の意見を生かし計画の見直しを求めます。
(4)特別支援学校を増設し、教室不足の解消をはかります
   養護学校など特別支援学校の児童生徒は年々増加し、プレハブ校舎を増設しても間に合わず、教室不足は164教室(2010年)におよびます。現在、結城養護(342名)、つくば養護(326名)など7校が過密状況になっています。県議会には毎年養護学校の施設改善を求め、父母や教職員から署名を添えた請願が提出されています。結城養護、つくば養護、伊奈養護の大規模化の背景に、県西地区に養護学校がないことがあります。養護学校がないのは「古河・坂東障害福祉圏」だけです。日本共産党は、スクールバスの長時間乗車や教室不足を解消するには新たな学校建設を含めた改善策が必要と指摘し、県西地域への新設を提起しました。教育長は「具体的に検討する」と答弁(08年12月議会)し、09年12月、県西地区への新設やスクールバス90分コースの解消などを盛り込んだ「県立特別支援学校整備計画」(2010年度から5年間)を策定しました。日本共産党は、教職員や父母の運動と力をあわせ、医療的ケアが必要な子どもたちへの看護師配置、スクールバスの増車、介助員の複数配置などを前進させてきました。さらに充実させ、教室不足の解消をはかります。
(5)私立高校生への「就学支援金」を増額し、私学助成の拡充をはかります
   公立高校の授業料無償化がスタートし、私立高校生には「就学支援金」が支給されています。支給額は県立と同額の11万8、800円で、世帯年収によって1.5倍から2倍まで支給されます。しかし、本県の私立高校の授業料は施設設備費を含めて年額約45万円です。県立との格差は埋められず、大きな負担になっています。日本共産党は、教育の機会均等を保障する立場から、公私格差の是正にむけてさらに支援を求めます。また、授業料免除予算の減額をやめ、減免制度の拡充を求めます。
(6)職業訓練校等の授業料無料化を求めます
 産業技術専門学院、県立医療大学、職業能力開発校、農業大学の授業料が値上げされ、県看護専門学校の入学金が新設されました。地域経済を支える人材育成の場にまで「受益者負担」の名で負担を強いています。産業技術専門学院、農業大学校は希望者全員を受け入れ、授業料無料化を求めます。

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