2011年01月

2011年新春座談会

暮らし守る運動広げ

いっせい・中間選挙勝利へ

          田谷武夫党県委員長       塩川鉄也衆議院議員                          大内久美子県議会議員   田中真己党水戸市議団長 

県民運動と共同し、願いが通る県議会に変えて行きたい

大内久美子県議会議員









市民のSOSしっかり受けとめ暮らし守る議席を必ず守る

田中真己党水戸市議団長









暮らし守る共同に新しい広がり。こういうときこそ頑張りどき

塩川鉄也衆議院議員









選挙戦の厳しさ直視しつつも、奮闘いかんでは勝利の前進の条件ある

田谷武夫党県委員長

 2011年への展望と決意について、塩川鉄也衆院議員、大内久美子県議会議員、田谷武夫党県委員長、いっせい地方選挙をたたかう田中真己水戸市議団長に語っていただきました。聞き手は編集部。

激動の年迎えて大いに語る

 ――新年あけましておめでとうございます。
一同 おめでとうございます。
 ――昨年は夏の参議院選挙、暮れの県議会議員選挙と、大きなたたかいがありました。まず、昨年を振り返り、新年の抱負をお聞かせいただきたいと思います。まず県議選で5期目の当選を果たされた大内さんいかがでしょうか。

暮らしの願い切実さ実感

 大内 いっせい地方選挙の前哨戦の県議選となりました。商店街を歩きますと「赤字でもやっている」「やめていける人はうらやましい」という切実な声が聞かれ、暮らしがいっそうひどくなっていることを実感しました。高齢者の方からは、医療費の窓口本人負担が1割から2割に検討されている「新制度」に、「年金が少ないのに何でこんなに私たちの生活を苦しくさせるのでしょうか」「共産党を頼りにしています」とおっしゃる方に何度もお会いしました。
 民主党政権は「自民党よりも悪いね」という声も多く聞かれました。県議会でも共産党以外は全部与党としてムダ遣いを認めており、民主も自民も違いはないことは隠しようがありません。
 暮らしの願い、ムダ遣いをやめてほしいという願いが託されました。県民運動と共同してがんばっていきたいと思っております。
 
議席後退は、残念だが前進の方向つくり出した

 ――県議選の県全体の結果、選挙戦の様相など田谷さんにお聞きします。
 田谷 県議選でご支援をお寄せいただいたみなさんに心から感謝申し上げます。また、奮闘された支持者、後援会員、党員のみなさんに心から敬意を表したいと思います。
 茨城県党は今度の県議選を「現有2議席の絶対確保と議席の倍増」を目標にたたかいました。結果は、水戸市で大内くみ子さんが5選を果たすことができましたが、つくば市では山中たい子さんが残念ながら議席に届きませんでした。2期8年の実績豊かな山中さんの議席を確保できなかったことは本当に残念で申し訳ない気持ちでいっぱいです。
 選挙結果を私たちがたたかいの出発点として位置付けた参院比例票との比較で見ますと、水戸市で約2倍、つくば市で1・74倍、取手市で1・75倍、日立市で1・74倍、筑西市では3・53倍と伸ばし、なかでも筑西市では保守無党派層との共同を広げ、議席まであと一歩の476票差まで迫りました。全県で議席の後退という結果でしたが、内容としては、はっきりとした前進方向をつくりだしたことは、いっせい地方選挙に向けて確信にすべきことだと思います。
 他党は、民主党が24人(1人は推薦)を擁立しましたが、現有6人にとどまり惨敗しました。自民党は45議席から39議席で4万3948票減らしました。公明党は前回と同じ4議席でしたが、得票を約1割後退させ、みんなの党は3人立てて2人当選でした。
 また、同日投票でおこなわれた笠間市、坂東市、稲敷市の市議選では4氏全員が当選しました。笠間市では議案提出権を獲得して、稲敷市では党議席の空白を克服しました。

公約違反連続の民主党政権

 ――昨年の参院選で民主党が敗北し、国会の状況も大きく動いていると思います。塩川さん、国会の特徴、日本共産党の役割などお話しください。
 塩川 昨年は民主党政権が問われた1年間だったと思います。衆院副議長もつとめた民主党の渡部恒三さん(民主党最高顧問)と年末にエレベーターで一緒になりまして、「民主党政権に点数を付けるとしたら何点?」と聞きましたら、「うーん零点。いや間違いマイナス50点」といっていました。身内からも評価されないという情けない事態になっているのが今の民主党政権で、国民から見たら、公約違反の連続だったことが明らかだと思います。
 労働者派遣法抜本改正の先送り、後期高齢者医療制度は形を変えて残す、自民党といっしょになって障害者自立支援法を延命させる、日本農業と地域を破壊するTPP(環太平洋経済連携協定)交渉への参加問題も重大です。内部留保を積み増ししている大企業には法人税減税を表明するなど、「生活が第一」どころか、「財界のもうけ第一」というのが民主党政権の姿だったわけです。
 民主党と自民党に基本的に違いがなくなった、このことがくっきりした1年でした。

「ねじれ」あるのは悪政と国民要求

 塩川 「ねじれ国会」とよくいいますが、民主党と自民党に政策的政治的「ねじれ」はありません。あるのは自民・民主の悪政と国民の要求との「ねじれ」であって、この「ねじれ」を解消する国会論戦をおこなってきたのが日本共産党でした。
大門参院議員が最低賃金の抜本引き上げが有効な内需拡大策になると提起したのにたいし、菅首相も「大変魅力的な提案だ」と言わざるを得ませんでした。領土問題でも、国際的な道理と歴史的事実にてらした日本共産党の問題提起は反響をよびました。侵略戦争に反対を貫いた党ならではの提案ができるということに核心があると思っています。
 「ねじれ」は大きなエネルギーを秘めております。このエネルギーを国民の要求を実現する方向で、政治革新のエネルギーに転換をしていく、その役割を果たすことができるのが日本共産党であり、そういう値打ちを発揮するたたかいを今年、力いっぱいがんばっていきたいと決意をしております。

増える若い世代の生保受給

 ――民主党政権が暮らしをまもる公約を次々に投げ捨てるなかで、市民のみなさんの暮らしはどうでしょうか。田中さんいかがですか。
 田中 商店街や地域を歩くなかで、いま市民の暮らしの大変さを実感しています。水戸市でも生活保護の受給数が増え続け、とくに30代、40代の若い世代の受給者が多くなっています。雇用状況が深刻になっている反映だと思います。そうした人たちのSOSを受け止めて、いっしょに生活再建を支える役割を果たしていきたいと思います。
 県議選では国保税1万円引き下げの署名に取り組みました。水戸市では国保税が毎年のように値上げされ、滞納世帯が2割になっています。1700世帯が保険証を留め置かれています。この冬に保険証がないという事態です。命と健康を守る行政の仕事をしっかり果たさせなくてはなりません。
水戸市議会も「オール与党」はかわりありません。後期高齢者医療制度の早期廃止や国保税引き下げなどの請願に共産党以外反対しています。やはり共産党ががんばらないと市民の願いは実現しません。これから要求アンケートにも取り組んで、要求実現を入口にしながら支持を訴えていきたいと思っております。

建設的提案で苦難解消へ

 ――今年は4月にいっせい地方選挙をひかえ、また解散・総選挙もいつあってもおかしくない状況です。2011年をどういう年にしたいか。塩川さんいかがですか。
 塩川 1月から通常国会が行われます。第1は、民主・自民がすすめる悪政を告発するとりくみを大きく前進させたいと思います。民主党政権になって、自治体の機能と役割を弱める「地域主権改革」や公務員削減という、自公政権の悪政を継続し、さらに加速させる方向が打ち出されています。例えば保育所の最低基準を撤廃し、いっそう詰め込みを強要する中身です。また公務員削減の攻撃は、福祉や教育など公務員が担う役割まで否定するもので重大です。
 この間、国会でも取り上げましたが、大人になって失明する中途失明の視覚障害者が社会復帰めざす視力障害センターの廃止を民主党政権がおこなおうとしています。先日、ハローワークの調査にいきましたら、例えばハローワーク浦和では職員92名中、常勤がわずかに29名です。7割は非常勤です。国の就労支援にたいするお粗末な体制が浮き彫りになっています。公務員削減を許さないたたかいを広げていく決意です。
 もう一つは、建設的な提案で国民の苦難を解消するための取り組みをすすめたい。とくに地域経済が深刻な状況です。例えば住宅リフォームの助成制度の実現や公契約法・条例を実現させていく取り組みを国政でも、地方政治でも大きく前にすすめていきたいと思います。
住宅リフォーム助成制度では、取手市で党市議団を先頭に建設業者の方々の賛同を集め市政を動かす力にもなりました。群馬県太田市では、党市議が市の建設業協会から講師を頼まれたと聞きました。そういう変化も生まれています。
いま多くの人が党派にかかわりなく暮らしを守るためにだれが力を発揮してくれるか注目しているときです。こういうときこそ日本共産党のがんばりどきです。地域経済振興のために大いに前向きの提案もし、実現のために力を尽くしていきたい。そういう1年にしていきたいと思っております。

暮らし守る党の役割訴えて

 ――いっせい地方選挙の候補者としてたたかう田中さん、いかがですか。
 田中 この間、保育所増設を大内さんといっしょに要望し予算化が実現しました。こうした積極的な提案を通じての実績を訴えていきたいと思います。水戸市では国保税値上げの動きがあります。低所得層により重くするもので、値上げはきっぱりやめさせなくてはなりません。暮らしの守り手としての共産党の役割を訴えていきたいと思っております。また、私も子ども会やPTAでの結びつきのなかで、子育て世代の声もしっかり取り上げて、がんばっていきたいと思います。
 水戸市議選は定数が2減の28でたたかわれます。前回より当選ラインがあがり、多数激戦が予想されます。得票増なくして現有3議席の確保はありません。そうした構えでがんばっていきたと思います。

 「地域循環型」県政に提起

 ――新しい県議会にどう取り組んでいくのか、大内さんいかがですか。
 大内 先ほどから出されている地域経済をどうするか、これはほんとうに切実な声です。県議選でもかかげた国保税引き下げなど暮らしを守る政策は、やはり地域経済をよくすることにつながるという、この地域循環型に本格的に取り組んでいきたいと思います。
水戸市では待機児童が800人というなかで保育所増設の計画をつくらせ、現実に139人を増やすことができました。そこで働く人も半分は正規職員ではないということから待遇改善も求めてきました。暮らしに密着した公共事業は、そこでの雇用拡大にもつながります。この点を本格的な流れにし、県政でも積極的に提案をしていきたいと思います。これは立場が違ってもみなさん賛同できる内容です。
いま地域の建設業者はほんとうに仕事を求めています。茨城空港や常陸那珂港など大型公共事業では地域経済はよくならない、このことは現実の姿となっています。県議選でもかかげた身近な公共事業を積極的に取り組んでいきたい、これが一つです。
 もう一つは、茨城県は財政力が8位なのに福祉や医療は全国最下位クラスという、税金の使い方をただしていくことです。開発用地が大量に売れ残り毎年100億円以上、20年間も税金をつぎ込むという事態に見られるように、土地開発の破たんがはっきり示されました。この開発型の政治を切り替えることは、県民の切実な願いを実現する運動のなかでも、絶えず提起をして、県民世論にしていきたいと思っております。

TPP参加反対で共同広げる

 大内 茨城県は農業算出額が全国2位の農業県です。私たちは昨年11月の県議会でTPP反対の意見書を提案しましたけれども、否決をしてしまいました。しかし、県内ではJA県中央会など反対の声は大きなうねりになっています。改めて各団体とも懇談をしながら、共同して県議会で反対の意見書をだせるようにしていきたいと思っております。
 県議会では、私学助成の拡充、養護学校の改善、中学3年生までの医療費無料化など切実な請願に共産党以外賛同しないで、不採択にしています。それでいて選挙になると実績として「医療費無料化の拡大をしました」などという。本当にそれでいいのでしょうか。県民運動と結び付けて、県民の声が通る県議会に変えていきたいというのが私の思いです。

待たれている対話活動

 ――県議選での経験を生かして、いっせい地方選挙をどう取り組むのか、この点はいかがですか。
 大内 共産党のいいところは市議会、県議会、国会が連携して要求実現のためにいっしょになって取り組む――これは自民党議員からも「共産党は取り組みが早いね」と結構言われます。この強みを生かした取り組みをさらに強めていきたと思っております。
 県議選をたたかって感じることは、やはり対話ですね。これをみなさん待っています。集いや話し合いをもつ対話活動をさらに強めていきたいと思います。対話のなかでは相手の考えも聞きながら、話し合えばいっしょにやれる条件もいっぱいあります。今度の県議選でも、そういう人たちが担い手になっているんです。いまいろんなところにあいさつにいきますと、「知っている人、3人ぐらいに話したんですよ」ということをよくいわれます。「こども福祉医療センター」を県立として充実させてほしいと願う障がい者団体の方たちは「共産党がいなくなったら頼りになる人がいなくなってしまう」ということで支持を広げてくれました。この問題は新しい県議会でも大きな課題となります。がんばり時だなと思っております。
 水戸では党員を増やして激戦を勝ち抜いたという実感をもっております。選挙が終わった暮れにも2人の方が入党しました。やっぱり自分たちの切実な願いを受けとめてくれる共産党、傍観者ではなくいっしょにたたかっていこうということで入られました。この教訓は全県的にも広げていきたいと思います。
 いっせい地方選挙、その後に連続する中間地方選挙での全員当選をめざして私もがんばりたいと思います。

党の値打ち語る「集い」縦横に

 ――いっせい地方選挙での県党の目標や取り組み、決意など田谷さんいかがですか。
 田谷 県議選の教訓をしっかりつかんで、いっせい地方選挙、中間選挙での前進、国政選挙での巻き返しに向けた取り組みを強めていきたいと思っております。
県議選では、選挙戦の厳しさ激しさとともに、奮闘いかんでは勝利・前進できる条件があることを実感しました。水戸では党員を4年間で236名増やし、「しんぶん赤旗」読者もほぼ前回並みでたたかったことが激戦を競り勝つうえでも力になりました。
もう一つは、国政問題と党の値打ち、綱領の日本改革の中身など党の全体像を語る「集い」の大事さです。民主党政権批判の高まりのなかで国政にも大きな関心が寄せられていましたが、少人数での「集い」ではそうした話し合いが縦横に語られ、県政や国政での日本共産党の役割がわかり、参加者が党や候補者を応援する場に変わっていきました。これらの取り組みをさらに広げていきたいと思っております。
 今年は1月にかすみがうら市議選があり、その後、4月のいっせい地方選挙が14自治体で取り組まれ、第一次で20名を発表しました。さらに同時に予定されている水戸市長選挙と取手市長・市議補選などで、候補者擁立を検討しています。目標は現有議席を確実に確保していくこと、それとともに議席増の条件、可能性のある自治体、選挙区では積極的な目標をかかげてたたかい、空白克服にも挑戦していきたいと思います。

「支部が主役」で結びつき広げ

 ――どんな点に力点をおいて活動をすすめるのでしょうか。
 田谷 「支部が主役」でということをしっかり押さえて、4月17日告示、24日投票日までの計画を立てて、演説会や集い、決起集会など宣伝・組織計画を明確にしていくことが必要です。地方議員・候補者を先頭にした宣伝、党員・後援会員の結びつきを生かした対話と支持拡大にただちにとりくむことが必要です。切実な住民要求を実現する活動、署名運動などにとりくむことも求められます。
 TPP参加問題や後期高齢者医療制度、高すぎる国保税、住宅リフォーム条例などで各団体、保守・無党派の方々とも共同を大いに広げて、いっせい・中間地方選挙の勝利へたたかっていきたいと思っております。
 ――ありがとうございました。

 

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