2010年05月

高萩高校で手すり落下・転落事故

党県議団が 緊急申入れ

背景に耐震化・改修の遅れ

学校施設の耐震化・改修の促進を申し入れる(左から)山中たい子、大内久美子両県議(4月26日、県議会)

 県立高萩高校で4月19日、2階ベランダのコンクリート製手すりが崩れ落ち、男子生徒2人が転落し重軽傷を負う事故が発生しました。事故のあった校舎は1974年6月建築で築35年を経過していました。耐震診断では、地震の震動及び衝撃に対し「倒壊し、又は崩壊する危険性があるもの」に分類にされ、「要改修」と診断されていた校舎でした。
 日本共産党茨城県議団は現地調査をおこなうとともに4月26日、県教育委員会に学校耐震化と老朽校舎の改修を急ぐよう緊急の申し入れをおこないました。
 県立学校で築35年以上経過しているのは77棟に及びます。今回の事故を受けて県教委がおこなった緊急点検調査では、ベランダや手すりの危険個所が29校の41カ所で確認されました。
 学校施設は子どもたちの学びの場、生活の場であると同時に、非常災害時における地域住民の緊急避難場所の役割を果たすことから、その安全性の確保は極めて重要です。しかし本県の公立学校の耐震化率は、小中学校50・5%、高等学校62・7%、特別支援学校70・7%にとどまっています。なかでも小中学校は全国45位、ワースト3位という実態です。市町村は「財政が厳しく予算を回せない」としていますが、県独自の市町村にたいする支援策はありません。
 大内久美子、山中たい子両県議は、学校の耐震化工事、老朽化した施設の改修・補修などは、命と安全をまもるためにも最優先課題と強調。同時にこうした生活密着型公共事業は、中小企業向け発注をふやし、雇用創出と地域経済の活性化にもつながるとのべました。


市町村に県独自の財政支援を

 申し入れでは具体的に、事故原因の徹底究明と再発防止、危険個所の早急な補修、定期点検の充実▽学校施設の耐震診断・耐震改修の早期完了をめざし重点的な予算措置を講じる▽老朽化した県立学校の建て替え、改修・補修などの年次計画を立て早急に実施する▽公立小中学校の耐震化を促進するために市町村にたいする県独自の財政支援策を創設する▽国にたいし、学校施設の耐震化に係る必要な予算確保とともに、高等学校の耐震改修にたいする国庫補助率の引き上げ、今年度までとなっている地震防災対策特別措置法に基づく補助率のかさ上げ措置の期限延長を求める――ことを要望しました。県教育庁の小嶋裕司財務課長は「事故は申し訳なかった。緊急性のあるところから優先的に対応していく」と答えました

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