2010年04月

第1回定例県議会 予算特別委員会

県立こども福祉医療センター 知事が民営化の方針

県立こども福祉医療センター(水戸市吉沢町)は、肢体不自由児や母子が入所して治療・訓円を受けられる施設・病院として1961年に開設。外来診療は年間12,000人おり、この20年間で1・7倍に増えています。

 

移転先は7`離れた売れ残り開発地

大内県議が迫る  「県立施設として充実すべき」

 予算特別員会で大内久美子県議は、県内唯一の障害児専門療育機関「県立こども福祉医療センター」の民営化方針の撤回を迫りました。
 築50年と老朽化が著しい同センターについて県の整備検討委員会は2月23日、同センターを民営化したうえで、県の開発用地・桜の郷(茨城町)に移転新築すべきとの報告書を知事に提出しました。これを受けて橋本知事は今議会で「この報告を踏まえ、対応方針を検討する」とのべ、事実上民営化する方針を明らかにしました。
 同センターの整備検討は9年前からおこなわれ、2001年の報告書は「県立として存続が必要」とし、そのうえで07年の報告書では、在宅の肢体不自由児、重症心身障害児(者)への対応や養護学校、こども病院、県立医療大学付属病院など他機関との連携強化が打ち出されました。
 大内県議は、障害児の医療や機能訓練を担う医師や理学療法士などの医療スタッフの確保は民間運営では困難と指摘し、「県立施設として充実させるべき」と迫りました。しかも移転先の「桜の郷」は現在地から7キロメートルも離れており、大内県議は、隣接の水戸養護学校の子どもたちが同センターと連携し訓練を受けている実績を示し、現在地に隣接する県有地での建設を求めました。
 橋本知事は「水戸養護学校周辺にある小児科医院との協力体制も検討する。県が完全に手を引くわけではない」などと答えました。

開発の後始末を優先 新年度県予算


大内県議が反対討論

 
2010年度当初予算案は日本共産党以外の自民党、民主党、公明党などの賛成多数で可決しました。
 採決に先立ち大内県議は、新年度予算で優先されたのは、住宅供給、土地開発、開発の3公社への補助金に118億円など開発行政の後始末と、さらに、つくばエクスプレス沿線開発や阿見吉原開発、常陸那珂港建設、ダム建設など開発推進の予算となっていると指摘しました。
 今議会で知事が表明した県立こども福祉医療センターを民設民営化し、売れ残っている県の開発用地に移転させる計画について、「50年の実績をもつ県内唯一の障害児専門療育機関を民間委託することは間違いでありやめるべき。今こそ、破たんしている開発行政から脱却すべき」と主張しました。
 子どもの医療費助成が小学3年生まで拡大されたことは一定評価するものの、全国で最も厳しい所得制限によって30%が受けられないとのべ、「所得制限がない無料化が子育て世代の願い」と強調しました。茨城空港開港後の予算として7億5千万円を計上しており、「さらなる税金投入で自衛隊・米軍基地の強化にしてはならない」とのべました。県西広域水道は値下げしたものの、大幅黒字の県南広域水道は据え置いたままです。大内県議は、八ッ場ダムに13億円などダム建設に30億円と、新たな水源開発に巨費を計上していると批判しました。


県営住宅 廃止計画撤回し建て替えを


 県が老朽化を理由に一部県営住宅の廃止を計画しています。予算特別委員会で大内県議は、入居希望が増えており廃止計画を撤回するよう求めました。
 県は県営住宅1万3千戸のうち老朽化などを理由に18団地634戸の廃止を決めています。廃止対象になっている水戸市内の県営西原、釜神両アパートには高齢者が多く入居し、廃止決定に「夜も眠れない」「年寄りを追い出すのか」の声が広がり、廃止撤回・建て替えを求める陳情書が県に提出されています。
 大内県議は県がこの10年間に県営住宅の建設費を4割削減し、建設戸数も5分の1にまで減らしてきたことを指摘。水戸市内の桜川アパート24戸の建て替えには建設工事や電気設備、給排水設備など45社が受注した例を示し、「県営住宅建設は住民にとっても、街づくりや地元業者のためにも必要とされる公共事業」と強調しました。土木部長は「現時点では廃止だが今後、周辺道路の整備や土地の利用状況によっては変化もありうる」と答えました


生活保護受給 相談件数の4割台

 保健福祉委員会で大内県議は、自治体窓口で生活保護の申請をさせずに追い返す「水際作戦」が依然として横行している問題を取り上げ、憲法25条にもとづく生活保障の徹底を求めました。
 2008年度の相談は5878件で、うち申請は3112件(申請率52・9%)でした。実際に受給が認められたのは2790件で、相談件数の4割台にとどまっています。
 大内県議は本県の保護率(人口1000人当たり被保護率)が6・7人で、全国平均13・9人の半分以下という実態を指摘。「相談の段階で申請を受け付けるのが法の趣旨ではないか」とただしました。福祉指導課長は、相談者が生活保護を窓口で申請できるよう関係機関に助言していく考えを示しました。

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