2009年4月

新年度予算をみる

福祉削減の一方で三公社に補助金100億円

  県の新年度予算は総額1兆766億円です。
 第一の特徴は、県民に福祉切り捨てと負担増を押し付けていることです。妊産婦の医療費助成では、歯科診療などは「特に助成を行う必要性に乏しい」として助成対象から除外し1億円が削減されました。小児慢性疾患治療補助は、対象を小学生以上とし、所得制限も導入しました。受給者は5年前の1万2千人から318人まで激減します。医師や看護師などの修学資金貸与は、これまで無利息から年10%に改悪しました。こうした県独自の補助で廃止・削減したのは1,500件、68億円に上りました。

 大型開発には  重点投資

 第二の特徴は、「産業大県」をめざすとして、「陸・海・空の広域交通ネットワーク」を柱とした大型開発に重点投資されていることです。常陸那珂港に38億円、茨城空港に57億円が予算化されました。茨城空港は開港を1年後に控え、国内便は決まらず、航空会社の施設使用料を見込んだターミナルビルは赤字必至の状況です。3月県議会で橋本知事は、目標の搭乗率を下回った場合に自治体が航空会社に損失を補てんする搭乗率保証の検討まで表明しました。
 公社の借金穴埋めも莫大となっています。住宅供給公社(46億円)、土地開発公社(10億円)に加え、新年度は新たに開発公社に17億円が補助されます。三公社にたいする利子補給27億円を含めると100億円の税金投入です。
 自民党、民主党、公明党、自民県政クラブの四会派は3月県議会最終日、「健全な財政運営を求める決議」を共同提案しました。「三公社に係る経営責任を明確化する」などとしていますが、「オール与党」として橋本県政を支え、破たんが明白な大型開発を推進してきた自らの責任こそ問われるべきです。
 一般紙は「財政危機の中、過去の開発事業の“負の遺産”が、県の台所事情を一層苦しめる」「県は『無駄な事業はない』とするが、すべての事業が今、本当に必要とされているか」(東京新聞2月20日)などと指摘しています。

 県民の要求が  反映した施策も

 県民の運動と日本共産党の要求を反映し予算化されたものもあります。私学助成の生徒一人当たりの補助単価が引き上げられました。妊産婦健診助成拡充(5回→14回)、米飯給食増加の市町村への助成、県立高校の耐震補強工事などの予算が盛り込まれました。また、老朽化が著しい「こども福祉医療センター」整備の検討費、県立友部病院新築(総事業費67億4千万円、2011年度開院)のための予算が計上されました。

 

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