2008年2月

霞ヶ浦導水事の業問題点は何か?

 

      導水事業めぐる県議会、水戸市議会での
      論戦の内容と茨城共同運動のとりくみが
      報告された学習交流会 (1月23日)

党県議団と水戸市議団が学習交流会

 国土交通省の那珂川取水口の工事強行に関係漁協が反対を表明している霞ヶ浦導水事業。これまで中止を求めてきた日本共産党県議団と水戸市議団は1月23日、学習交流会を開き、導水事業の問題点を報告しました。

水余り、環境破壊のムダづかい

大内久美子県議の報告から

 霞ヶ浦導水事業は、那珂川と霞ヶ浦、利根川を地下トンネルで結び、新たな水開発と水質浄化を目的に、1984年に着工した総事業費1900億円の大事業です。昨年12月、国交省は工期の5年延長を発表。これで4回目の計画変更で、予備調査から38年、当初の工期から22年も延長しています。2002年10月には開発水量を日量75万トンから45万トンに縮小しました。
那珂川の取水口建設は関係漁協の同意が得られていません。昨年9月、国交省は漁協に工事の強行を通告しました。そのため関係漁協は同意なしの着工に「絶対反対」を決議し、工事計画の撤回を求めています。

新たな水開発必要ない

 問題点の第一は、水は余っているということです。昨年3月「いばらき水のマスタープラン」(茨城県長期水需給計画)が改定されました。水道用水の1人1日最大給水量を508リットルから450リットルに、人口を323万人から297万人に見直しました。1人1日最大給水量の実績は400リットル以下ですからなお過大なものです。そのため2020年には日量46万トンも余ることを県は明らかにしました。これは人口100万人以上に匹敵する水量です。導水事業で開発する水量が日量45万トンですから、導水事業をやめてもなんら困らないことになります。
 それでは余った水をどうするか。「環境用水」「危機管理用水」という名目で保有するというのです。この点を県議会で問いただしました。知事は「新たな政策課題に対応するための水量」と答えました。これからの見通しのない開発のために、県民負担で水開発をすすめようという巨大な浪費です。

霞ヶ浦浄化につながらない

 第2の問題点は、霞ヶ浦の浄化にならないということです。1995年に旧建設省がシミュレーションをおこなっています。那珂川から霞ヶ浦に水を流したらどうなるか。「総窒素の値が上昇しますが、これは霞ヶ浦での植物プランクトンの増殖には寄与しないものと考えられます」と書いています。「総窒素の値が上昇」するというところが重要です。実は那珂川は霞ヶ浦よりも総窒素が高いのです。窒素が高い水が那珂川から流入することで、専門家は霞ヶ浦のアオコが増殖しCOD(化学的酸素要求量)を上昇させると指摘しています。
 では霞ヶ浦から那珂川に送水したらどうなるか。「BOD、クロロフィルaの値が上昇する傾向」と書いています。さらに那珂川の汚染を軽減するために浄化施設まで検討するとしています。漁業者が心配している那珂川の汚染は、旧建設省の調査報告からもはっきり言えます。

莫大な費用、 県民負担に

 第3の問題点は、莫大な費用と高い水道料金が強いられるということです。総事業費1900億円のうち茨城県の負担額は851億円です。すでに事業費の76%、1440億円を使っていますが、全長43キロのうち那珂導水路は32%しか出来ていません。工事費が膨れ上がるのは必至です。関東一高いという茨城県の水道料に確実に跳ね返ってくることになります。

清流・那珂川の生態系壊す

 第4の問題点は、生態系が破壊されるということです。那珂川のアユの漁獲量は全国一です。そのアユの産卵地は取水口予定地のすぐ上流にあります。ふ化した仔魚は海に下り、海で育ってまた遡上しますが、その仔魚が取水口に吸い込まれる危険性があり、水位の低下など生態系に重大な影響をおよぼすことになります。
 水余りと県民負担増、環境破壊など、どの角度からみても不要不急の事業であり、事業そのものの中止が求められています。

「桜川・千波湖浄化」は下水道整備でこそ

田中真己市議の報告から

 水戸市の加藤市長は、那珂川からの導水で桜川・千波湖がきれいになるとして、導水事業の推進を国・県に強く働きかけています。
 昨年12月議会で江尻加那市議が、河川浄化は公共下水道の普及こそ肝心と問いただしました。市の報告書では、桜川、逆川、沢渡川は「下水道普及に伴い、年を経るごとにBOD値は減少傾向にある」と書いています。今後、下排水処理の整備をすすめれば、那珂川からの導水に頼らなくても浄化は可能です。市長も下水道普及率の上昇で水質が改善されていることは認めざるをえませんでした。
 那珂川から桜川に毎秒3トンを導水しようとすると2つの無駄遣いが加わります。一つは桜川から千波湖への現在の導水管では小さすぎ、新たな導水管の工事が必要になることです。公共下水道が普及すれば不要な代物になります。もう一つは、導水される水もただではありません。毎年支払う負担金が発生します。私の試算では2億円ぐらいになるのではないかと思います。そんなお金があるなら下水道普及にこそ投入すべきです。

今でも6万人分の水あまり

 水戸市の水余りの実態からも導水事業は必要ありません。水戸市の自前の給水能力は日量13万750トンですが、今でも日量2万5000トン、人口にして6万人分の余裕があります。ところが導水事業が完成すると県中央広域水道(10市町村1企業団)には日量24万トンが確保され、そのうち水戸市が買う水量は3万400トンです。水戸市はすでに県中央広域水道から日量2459トン、いらない水ですが買っています。導水事業ができればその10倍以上を買うという途方もない計画です。人口も減り始めており、市民の水道料金にはねかえる無駄遣いであることは明らかです。


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